salmontiskunの日記

高校卒業まで田舎育ちで、そこそこ世間的に評価の高い都内国立大学および大学院に進学、その後都内IT企業で企画事務担当として働くアラフォーサラリーマンのブログです。特にテーマは決めてませんが、奨学金返済、マインドフルネス、などなど、「精神的、経済的、肉体的に幸せに生きるためには・・・」というテーマでブログを書いていきます。

「オウム事件真相究明の会」が追求したい真相って何だろう。

「オウム事件真相究明の会」発足 -オウム真理教と私の記憶 - salmontiskunの日記の続きである。

率直に言って、私は「オウム事件真相究明の会」のニュースを聞いた時から大きな違和感(もっと言えば胡散臭さ)を感じていた。
私がどのような点で違和感を感じたか。
まず本会関係者の発言を確認し、この会の設立目的や、やろうとしていることを把握しつつ、私が率直に感じたことを述べていきたいと思う。

真相究明の会の呼びかけ人の一人 雨宮処凛氏の発言

雨宮氏は、ハフポスト日本語版の「オウム事件真相究明の会、立ち上げ。」で、以下の通り述べている。

なぜ、地下鉄にサリンが撒かれたのか。なぜ、あれだけ多くの人の命が奪われ、多くの人が人生をメチャクチャにされなければならなかったのか。なぜ、一介の宗教団体があのような事件を起こすに至ったのか。
これらの問いに裁判が答えたのかと問えば、答えは明らかにNOである。

オウム真理教の裁判では、多くの元弟子が審理の場で

  • どういう経緯でオウム真理教に帰依することになったか
  • どうして麻原彰晃の命令に言われるがままに従う羽目になってしまったのか

について詳細に証言し、一部は手記として出版された。(例 林郁夫氏の著作「オウムと私」)

彼らの証言から、麻原の荒唐無稽な世界観およびその世界観に基づく卑劣なテロ行為がどのように正当化され、どのようなプロセスで実行されるに至ったかなども明らかになった。オウム真理教の裁判を通じ、かなりの部分で真相が明らかになった。私自身、人生に思い悩み、何らかわかりやすい断定的な回答が欲しいと思う時があるが、カルトにだけは救いを求めないようにしよう、と強い信念を持つことができ、オウム事件を教訓として学んだことは多々あった。

なので、「答えは明らかにNO」という断定的な雨宮氏の表現には強烈に違和感を感じる。真相究明の会は、裁判で明らかになった事実は自分が欲する事実とはかけ離れており、自分の欲する真相を求めることが目的で、ただクレームをつけているだけのようにも見えてしまう。もしくは単純な好奇心であさでも言おうか。少なくとも裁判で明らかになった事実を丹念に読み込み、それを下敷きとした上で、どの部分が不十分かを述べて頂かないと「明らかにNO」という表現だけでは何が不満かもわからない。

適切な法制度に基づき、適切なプロセスで裁かれた麻原彰晃の刑の執行を「自分が求める真相を欲するため」という理由で妨害するのは法治国家のあるべき姿としていかがなものか、と思うのだ。

再び雨宮氏の発言を引用する。

このような「証言」から浮かび上がるのは、麻原に重篤精神障害がある可能性だ。麻原と面会した精神科医は、適切な治療によって精神状態の改善及び、訴訟能力の回復が見込まれると述べている。このまま死刑が執行されてしまえば、真実は永遠に闇の中だ。

もちろん、公判前から麻原は人をけむに巻いたり小馬鹿にする対応に終始し、公判が始まってから途中から奇行も目立つようになり、まともな証言がなされないまま審理が終了したのは事実だ。
麻原にしか知りえない事実はあろうし、麻原の動機や思いは麻原にしかわからない部分もあろうと思う。もしも麻原の頭の中を何等か覗き込む手段があれば、新たに判明する事実もあると思う。その事実がどれほど重要で意味があるかはさておき。

ただ、今現在「重篤精神障害にある可能性がある」麻原に対して「適切な治療」を施すことによって、10年以上患っていた麻原の精神状態の抜本的な改善が見込めるものなのだろうか。私は精神科医ではないし、断定的なことは言えないが、素人目に見ても回復の可能性が高いとはとても思えない。精神的に廃人となった人間がそう簡単に回復するものでもないと思う。

万一麻原の精神状態が訴訟能力を有する程度に改善したとしよう。ここで彼の公判前公判中の不誠実な態度や発言を思い起こした時、精神状態が改善したところで、彼がまともな証言をするだろうと期待するのは些か楽観的すぎると思う。それとも精神病患いを境に、麻原の人格が急に変化するとでも言うのだろうか。もしくは彼に自白剤でも飲ませるのか。あり得ない。

なぜ急に今「真相究明」などと言い始めるのだろう

何より私が一番強烈に違和感を感じるのは「なぜ麻原の死刑執行を目前に控えた2018年の今になって、急に真相究明を標榜する会が組織として立ち上がったのか」という点、および「なぜ結果的に麻原の延命につながる活動を今になって多くの文化人が推進してるのか」という点だ。

麻原の死刑判決は、2006年9月に最高裁にて確定している。再審請求も2013年5月に退けられている。
本当にオウム事件に興味を持ち、彼らがいう「真相」を明らかにしたいと本当に思っているのであれば、死刑判決が確定した2006年9月から活動を開始すべきだし、せめて再審請求が退けられた2013年5月には真相究明の会が発足していれば、まだ私もまだ変な邪推を持たなかったと思う。

なぜ今なのか。
私にはどうも、ここ最近メディアでの発言が目立つ麻原の娘、松本麗華氏の発言に変に影響されているだけにしか見えない。
私の(幾分勝手な)推測は、また次回記す。(to be continued)