salmontiskunの日記

高校卒業まで田舎育ちで、そこそこ世間的に評価の高い都内国立大学および大学院に進学、その後都内IT企業で企画事務担当として働くアラフォーサラリーマンのブログです。特にテーマは決めてませんが、奨学金返済、マインドフルネス、などなど、「精神的、経済的、肉体的に幸せに生きるためには・・・」というテーマでブログを書いていきます。

田舎での子育て -自分の子ども時代を振り返りながら考える

私の実家と周囲の集落の人たちとの関係

私の実家の付近は日本有数の透明度を誇る清流の中流域にあり、山がちな地域の中で珍しく、まとまった平地*1に恵まれた地域であった。恐らく古くから開墾されてきた土地だろうと思うが、その平地全体に水田が広がり、水田の中にぽつぽつと畑が広がる、という風景であった。
私の実家周辺の家々は基本的に先祖代々農家で、兼業専業の区別はあるものの農業(特に稲作)には携わっていた。

私の両親は、今から40年ほど前、諸事情により、たまたま隣町から移り住むことを決めた。いわば余所者であった私たちを、概して集落の人々は好意的に受け入れてくれたようだ。もちろん古くからの因習に凝り固まった変な人も何人かいて、時折問題が発生したのは事実のようだ。田舎暮らしには田舎暮らし特有の面倒な因習やしきたりのようなものに特に母は悩まされたこともあったようだ。ただ、総じて少なくとも私は大きな問題を感じることはなく、幸せな子供時代を過ごせたように思う。

田舎は都会より子供を大事にする

田舎は、都会と比べて子どもに好意的である。私の故郷でも、コミュニティ全体の絆が強く、子どもが集落の一員であればその子どもを地域全体で面倒みよう、大事にしようとする雰囲気が私の実家付近にはあった。それも押しつけがましい形ではなく。

東京では、電車内でぐずったりうるさくしたりする自分の子どもに対する周囲の視線が冷たく、肩身の狭い思いをするお母さんの話はよく聞くが、田舎では少々子どもがぐずったり騒いだりしても誰も何とも思わない。
まず、田舎では人口密度が低く、家と家の間の距離もそれなりにあり、土地も広いので、少々子どもがある地点で騒いだところで周りがうるさいと感じる状況が成立しにくいのだと思う。
また、これは私の勝手な感覚で何の根拠もないのだが、都会で子育て中のお母さんが直面する周囲の人々との軋轢のかなりの割合が電車内、それも乗客が多い通勤電車内で発生する印象があるが、田舎には「満員の通勤電車なるもの」が存在しないのだ。私の故郷では電車は1時間に1本程度しか運航されず、それも乗客がまばらで、たとえ子連れの母親が電車に乗り込んだとしても周囲の目はとても優しい。都会のように「ベビーカーを畳め」と罵る輩は皆無だし、多少ぐずったとしても微笑みながら乗客は見守る。

田舎暮らしには田舎暮らしなりの様々ストレスがあり、一概に田舎の方がストレスレスとは言えないと思う。
ただ

  • 人口密度が希薄で、人と人との間に十分な距離が保つことが可能である(十分なパーソナルスペースをキープできる)。特に満員電車という乗客のストレスを極度に増幅させる空間が存在しない。
  • コミュニティ全体顔見知りで絆が強く、ある種拡大家族のように集落内助け合おうという空気がある。

という点で、少なくとも子育て世代においては、田舎の方が親が周囲との軋轢を感じる瞬間が少なく、ストレスレスに暮らせる印象だ。

父が単身赴任だったということもあり、母は約40年前私の姉と私という二人の幼子を一人で育てることとなりそれなりに大変だったはずだが、今思い返してみても、母は孤立することなく、適宜周囲の温かい助けを得ながら乗り切っていたように思う。
また、「田舎は都会より子どもの存在自体を有難がる」ということもあり、言い方を変えれば私達一家は約40年前当時、私と私の姉という幼子の存在を介してうまく集落に溶け込めたとも言えると思う。幼子2人の存在を媒介として母は集落の人々とコミュニケーションする機会を持ち、周囲に助けられ、周囲との絆を深めていったのだ。
たとえば子供がいないサラリーマンのDINKS夫婦が田舎に住むことになったと想像すると*2・・・もちろん最終的には受け入れられると思うが、何というか大変だし時間がかかりそうな印象だ。。

私自身、子ども時代常に、周囲の年配の方々から常に温かい声をかけられ、見守られ、可愛がられている感覚があった。
実家周辺の田畑や野山で駆け回って遊んでいた私の子供時代。今思えば、それらの遊び場は全て私有地で、私はある意味不法侵入者だったのだが、周囲の大人は私が遊ぶ様子を微笑ましいものとして、見守ってくれた。水かき前の田んぼで、れんげ草や土筆やヨモギを摘んだり、初夏の水田でタニシを採取したり、野山でワラビやイタドリ*3や栗やドングリを取っても、咎められた記憶はない。私が誇らしげに収穫物を周囲の大人に見せると、みんな微笑んで称賛してくれたし、私は素直にうれしかった。

幼児に悪戯をしたり誘拐したりとかそういう変な大人の心配をすることなく、伸び伸び自由に子どもを遊ばせ、育てることができるという点においては、自分の実体験を踏まえて、田舎暮らしは悪くないのかも、とも思う。

*1:実際は平地というほどのものでもない。日本の他地域に比べれば、山と山の間に挟まれた狭間、と表現した方が適切なほどの狭さである。大体学校の校庭10個分くらいの広さか。

*2:そもそも、この前提はあり得ないものだが

*3:私の地方では「ゴンパチ」と呼ぶ