多額の奨学金を借り、完済する過程で、適切な経済感覚を身につけられた
喉元過ぎれば何とやら、という部分もあり、「あれだけ恨みつらみを書いていたお前が何を今さら」と言われそうだが、それでも敢えて言う。
奨学金返済完了後約5年が経過し、家計のバランスシート上完全に問題が無くなった今、過去を振り返って思うことは・・・
- 約500万という奨学金を借りて約9年で全額返済するという経験を通じ、健全な経済感覚を醸成することができた
- その経済感覚は今も維持し続けており、自分の人生において非常に重要な経済的教訓を得ることができた
という点で、多額の奨学金を借りて苦しい思いをして返済を完了させる、というプロセスを経験できて良かったのだと思う。「思うようにしている」ということはなく、今となっては、本当に普通にそう思う。
奨学金完済プロジェクト計画、立案、実行・・・そして目標を前倒しして達成!
以前のブログでも書いたが、多額の奨学金という負債の存在が一つの大きな要因となり、当時付き合っていた人との婚約を破棄することになった経験が私にはある。
婚約破棄の直後は当然のことながら本当に悲しい思いをし、特に実親への(理不尽な)恨みを増幅させたりもしたが、少し時間が経った後、私は「今後二度とこのような悲しい思いをすることがないように、まずは今後数年のうちにできるだけ早く残った奨学金残債(約230万円)を完済しよう」と決意した。
まず、月々の家計を綿密に見直し、削れる部分は削ることで、「月々の奨学金返済(約3万円)とは別に、いくらまでなら奨学金返済に向けた積立が可能か」を綿密に計画した。具体的には、毎月の手取りをベースとし、費目ごとの予算計画を立て、Googleスプレッドシート上で月毎に何の費目にいくら使ったか、計画値(予算)との差異はどうだったか、など、すべて記録・管理していくこととした。結果、当面は月々7万円の奨学金返済が可能と判断していた。
私が付けていた家計簿のイメージ(ある月のサマリのデータ)
実態 | 予算 | 差益 | |
---|---|---|---|
総計 | 283,752 | 286,120 | 2,368 |
家賃 | 72,000 | 72,000 | 0 |
電気 | 3,500 | 4,000 | 500 |
ガス | 1,197 | 1,500 | 303 |
水道 | 1,491 | 2,000 | 509 |
日用消耗品 | 0 | 1,500 | 1,500 |
食費 | 38,252 | 32,000 | -6,252 |
通信費 | 11,702 | 12,000 | 298 |
被服費 | 0 | 3,000 | 3,000 |
医療費 | 6,8080 | 2,500 | -4,308 |
美容費 | 0 | 0 | 0 |
交通費 | 3,760 | 4,500 | 740 |
趣味・娯楽費 | 15,788 | 20,000 | 4,212 |
交際費 | 15,762 | 20,000 | 4,238 |
雑費 | 1,700 | 488 | -1,212 |
伊勢丹積立 | 5,000 | 5,000 | 0 |
保険料 | 6,015 | 6,015 | 0 |
奨学金返済 | 29,617 | 29,617 | 0 |
奨学金返済積立 | 70,000 | 70,000 | 0 |
以上は実際に私が当時管理していたGoogleスプレッドシートの2012、2013年頃のある月の家計簿サマリの例である。とにかく当時は「奨学金完済」を自分の人生における短期的な至上命題(何としても達成すべき!)と設定し、あらゆる家計簿項目を徹底的に見直し、少しでも完済の日を速く迎えられるように種々考えていた。
たとえば、この月の頃までは、伊勢丹積立*1、保険料*2という項目がある。しかし、伊勢丹積立は当時の自分には伊勢丹で買うようなものはなく、贅沢品であると判断、満期を迎えるタイミングで止め、保険も特に独身の自分には前々から不要なものと思っていたため、タイミングを見計らって解約した。結果的に伊勢丹積立停止、保険解約完了後には奨学金返済積立額は8万円にアップできた。
この他にも項目単位で、自分の生活に過度に不便をかけない範囲で倹約を継続、最終的には目標をかなり前倒しし、「可能な限り早期の完済目標」を思い立った時から2年弱で、奨学金を繰上完済できた。日本学生支援機構から支払証書が届いた瞬間は、「やり切った、やればできる」という達成感で気持ちが良かった。
現在も家計の健全な管理と健全な倹約生活の習慣は継続している
「奨学金完済」という目的を達成するために・・・
- 徹底的に家計を見える化し、無駄な支出省く。
- 計画した予算内でその月の支出額総額を抑える(項目事に黒字赤字の凹凸はあってもよいので、最終的に総額として辻褄を合わせる)。
- 積立/貯蓄に回す金額を可能な限り大きくする。
というプロセスを私は愚直に実行していたのだが、この習慣は奨学金を完済後、結婚した今も続けられている。経済的に余裕ができた今は、もう少し各項目に余裕を持った予算で生活をしているが、それでも
- 家計簿をつけ、適宜見直し、反省する
- 無駄なものには支出しない
- 予算の範囲内で生活する
- できるだけ貯蓄や投資に多くの金額を回す
という大原則は崩してはいない。おかげで、今となっては当面何があっても困らない程度の十分な金融資産を蓄えるまでに至っている。
大きな経済的苦労をしていない人間であれば、お金はあればあっただけ湯水のように趣味やくだらないものに費やしてしまうものだ。自分の身の回りの人々を見ていても本当にそう思う。が、私のように多額の奨学金を返済するなどの経済的に大変な苦労をしていれば、お金の有難みは理屈ではなく身に染みて理解できるようになる。よって生活レベルを落として少ない金額で自分のやりたいことを過度に犠牲にせずにやりくりして暮らせる生活の技術を身に着けられる。また、奨学金返済をしている時は確かに大変だが、返済が終わったら、返済額はそっくりそのまま貯蓄に回せるので、最終的に奨学金返済経験者の方が未経験者より金融資産が多くなっている、というパターンは普通にありうると思う。
結果論だが、私にとっては多額の奨学金返済は、健全な経済感覚を身に着けるきっかけを与えてくれるものだった、ということもできるのだ。