salmontiskunの日記

高校卒業まで田舎育ちで、そこそこ世間的に評価の高い都内国立大学および大学院に進学、その後都内IT企業で企画事務担当として働くアラフォーサラリーマンのブログです。特にテーマは決めてませんが、奨学金返済、マインドフルネス、などなど、「精神的、経済的、肉体的に幸せに生きるためには・・・」というテーマでブログを書いていきます。

国(日本学生支援機構)への提言 -その2

昨日の記事の続き。

奨学金という名称を学生ローンに変更する

日本学生支援機構という団体名自体は変える必要はないし(実際学生の勉学を支援手しているのは事実)、給付型奨学金については、これまで通り、奨学金という名称を使うことに何ら問題はない。ただ、第一種(無利子)、第二種(有利子)の奨学金については、奨学金という名称ではなく、学生ローンという名称に変更すべきである。

百歩譲って、高度経済成長期であれば「奨学金」という名称を用いるのはまだ理解できる。有利子、もしくは低利の奨学金を借りたとしても、インフレの影響で実質負債額が小さくなり、「実質的な経済的恩恵が卒業後にもたらされる」のだから。今のデフレの時代に置き換えて言い換えると、マイナス金利でお金が借りるようなものだ*1

しかし、以前の記事にも書いたが、住宅ローンの変動金利が長年0%代を記録し続けているという事実が物語っているように、デフレで物価が下がる現代にあっては、無利子、低利子であったとしても、実質的に卒業後に支払う返済額には利子が上乗せされている。無利子であっても、実質的に利子を加えた返済を行っているのであれば、それは紛れもなくローンであり、「奨学金」という名称を用いるのは間違っていると私は思う。

名前を変えたからといって、具体的に何かが変わるわけではない、でも・・・・

勿論、実際問題として「日本学生支援機構 第一種奨学金」という名称を、「日本学生支援機構第一種学生ローン」と変更したところで具体的に何らかメリットがもたらされる訳ではない。ほぼ全ての高校生は、日本学生支援機構の総額金が実質的には学生ローンだということを知っているだろうし。また、たとえある高校生が情弱で、「奨学金が実質的に学生ローンであるという事実」を万一知らなかったとしても、普通の知性を持っていさえすれば、実際に奨学金を利用しようと思い立った際、徹底的に制度を調べるだろうし、その過程で容易に制度の本質にたどり着くであろう。

政府や公的機関には、正しい用語を正しい用法で使うべき

ただ、名称を正しく本来の意味で使い、公に正しく告知する、ということは、公的機関としてあるべき正しい姿だと私は思う。とかく国、行政機関は、都合の悪いことは国民に知らせない、もしく嘘ではないが適切ではない表現を用いることで国民を自分たちにとって都合の良いシナリオに導こうという傾向がある。

ここで、少し古い話になるが、福島第一原発事故のケースを取り上げたい。2018年になっても未だ完全な終息のシナリオが見えない、世界史上にも記録されるであろうこの深刻な事故、事故が起こったまさにその年に、政府からいきなり「冷温停止状態」という表現が飛び出し、さらにその年の12月に「原発事故終息宣言」なるものが首相の口から飛び出した。

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(2011年12月26日 野田首相記者会見)

政府、首相の発表内容をよく読めば、一般の国民が想像する意味での「冷温停止」や、「原発事故終息」が達成されていないことはわかるが、時間がない方や、出典や出所をを抑えず、健全な批判精神を持たずに物事を認知し判断する方(要は知的ではない方)は普通に多数存在する。誤った早合点に基づき、誤った現状認知がなされ、誤った判断がなされる、という状況は、望ましくない。誰にとってもだ。

繰り返しになるが、「奨学金」という名称を「学生ローン」に変えるということは、些末なことで、それ自体大きな影響をもたらすことはない。ただ日本学生支援機構は機構の設立経緯や理念からして十分に公的な団体なのだから、正しい言葉を正しい用法で正しく国民に周知する義務があると考える。

*1:ただ、それでも「奨学金」という本来の言葉の意味を踏まえると無理がある