salmontiskunの日記

高校卒業まで田舎育ちで、そこそこ世間的に評価の高い都内国立大学および大学院に進学、その後都内IT企業で企画事務担当として働くアラフォーサラリーマンのブログです。特にテーマは決めてませんが、奨学金返済、マインドフルネス、などなど、「精神的、経済的、肉体的に幸せに生きるためには・・・」というテーマでブログを書いていきます。

国(日本学生支援機構)への提言

日本学生支援機構の発表

日平成29年11月発表「奨学金事業への理解を深めていただくために」によれば、

 3か月以上の延滞債権額は、平成24年度末をピークとして減少し、要返債権額に占める3か月以上の延滞債権額の割合は、JASSOの設立以降一貫して減少しています。
人数だけでなく、延滞債権額を見ても、年々、奨学金事業の運営の健全化が進んでいることが分かります。

とのことである。

f:id:salmontiskun:20180516205959p:plain

( 日本学生支援機構発表資料 p.33より)

また、更に滞納者数も順調に減っているらしい。

f:id:salmontiskun:20180516211322p:plain

 

なお、奨学金として貸与されるお金の財源の構成は、

  • 一般会計(要は税金): 40%
  • 過去奨学金を借りた方からの返済金: 60%

とのこと。(「奨学金ガイド」より)

 

以上を踏まえた日本学生支援機構の結論は、「様々な報道や出版の中には、誤解に基づくものが散見され、学生・生徒の皆さんが過度の不安にあおられている」ということのようだ。順調に延滞額も延滞者も減っている、といいたいのであろう。

ただ、

  • 多少減少傾向にあるとはいえ、総額2,400億円の延滞金が存在し、その穴埋めのために千億円のオーダーという単位の多額の税金が投入されていること
  • 減少傾向にあるとはいえ、依然16万という多くの卒業生が滞納しており、その多くの生活が苦しいであろうと想定されること

を踏まえると、状況が抜本的に好転しているわけではないと思う。延滞者が減ったのはその直前に機構が打ち出した幾分強硬な措置*1に不届きな延滞者が対応したからである。そのような強硬な措置を経てもなお、16万という滞納者がいる事実が何を物語っているか、少し考えてみれば自ずと実態が見えてくるのではないか。

私は、結局のところ、貸与すべきではない学生に多額の金額を「奨学金」という名のもとに貸与している現実がこの惨状を招いており、この現状に切り込まずして、抜本的な解決は図れないと考えている。では具体的にどのような対策が必要なのか。

一定の基準を満たさない大学には、奨学金を提供すべきではない

大学を卒業したからといって、安定が保証されることなどありえないこのご時世、学生の特性や学力、情熱ややる気などを無視して、高校時代の成績と親の経済状況と簡単な面接だけを基準にどの大学や専門学校に進学希望の学生に対しても、平等に奨学金を貸与し、卒業後に貸与した全員から問題なく返還が続くことを期待する前提は、そもそもあまりに無理がありすぎる。

日本学生支援機構の事業を継続性のあるものとするのであれば、民間の貸金事業の事業モデルに学びながら、改善していく必要があると思う。

まず、卒業後に返還の可能性が低い大学卒の学生には貸さない、というのが一つの解決策ではなかろうか。住宅ローン審査では属性が条件を満たさない申請者には貸さない、または貸しても希望額を大きく下回る額しか貸さない、など。

以前にも引用したが、大学の偏差値とその大学卒業生の奨学金延滞率の間には相関関係がある。そして、延滞率が高い大学のほとんどは、敢えて辛口で言うと、奨学金を借りてまで入学する大学ではない。

 

toyokeizai.net

延滞率が〇%以上の大学(もしくは大学学部)については、その大学(もしくは大学学部)入学者にはそもそも最初から奨学金を貸与しない、もしくは総額いくらまでしか貸さない、という指針を日本学生支援機構が示すべきだと思う。奨学金を借りてでも大学に行きたいというのであれば、相応の努力をして、それなりの学力を蓄えた上で知名度の高い大学に入学する、もしくは医学部、薬学部、看護学部など卒業後当面相応の給与水準が保証される学部に進学する、という方向に高校生のモチベーションを導くべきではないか。

平等に扱うことが常に幸せな結果をもたらすわけではないのだ。

*1:悪質な延滞者に対しては、法的措置をとる、信用情報機関に情報を搭載するなど