salmontiskunの日記

高校卒業まで田舎育ちで、そこそこ世間的に評価の高い都内国立大学および大学院に進学、その後都内IT企業で企画事務担当として働くアラフォーサラリーマンのブログです。特にテーマは決めてませんが、奨学金返済、マインドフルネス、などなど、「精神的、経済的、肉体的に幸せに生きるためには・・・」というテーマでブログを書いていきます。

奨学金(という名の教育ローン)自己破産の社説について思うこと

奨学金の自己破産が5年間で延べ1万5千件

2018年4月23日付朝日新聞社説によると、2016年5年間で延べ1万5千件の奨学金破産が発生している模様。3か月以上滞納しているのは、4万件(全体の約4%)とのこと。

本件、公立高校/都内国立大学/都内大学院と延べ9年間計500万円弱の奨学金を借りた身とした他人事ではない。比率としては自己破産は全体の0.4%と少なく、若干朝日新聞側の数字の提示の仕方が誠実でない印象は否めない。しかしそれでも、自己破産予備軍含めると、多くの若者が苦しんでいるのは事実だろうと思う。同じような苦しみを味わった自分も、本件感じるものが多分にあるので、思いつくままにつづってみたい。

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自分は奨学金(全額返済できて幸運だった・・・でも

自分は大学院卒業後、日本においてまともな(すくなくともブラックではない)東証一部上場企業に就職でき、その後足掛け9年(2004年~2013年にかけて)、そこそこ質素な生活を送りながらも、海外旅行など自分の趣味は極端に我慢することなく、全額奨学金を返済できた。

ただ、それでも奨学金返済が容易だと思ったことはない。よく言われるように、奨学金=借金であり(今さらながら、奨学金という名前を一刻も早く「公営学生ローン」と変更すべきと思う)、常に心の片隅に奨学金のことが重荷として存在し続けた。返済期間中にはリーマンショック東日本大震災と日本の経済を大きく揺るがす大きな事象が派生し、私の勤め先も大きな影響を受け、給料(賞与)が大幅に下がり、「返済苦しいなぁ」と思うことも少なくなかった。

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この間、奨学金残高が200万円ほどあるということを正直に婚約者に伝えた際、「返済完了までは結婚しない」という相手の意向を知らされ、婚約破棄の結果となり、「人生簡単ではないなあ」と思うこともあった。上の姉が全額親の負担で奨学金を借りずに大学を卒業する一方、自分は多額の借金を背負わされたという事実もあり、親に対するわだかまりも相当あった(今は家族仲良好です)

時代が違うので返済が大変なのは当たり前

私の両親もそうだったが、高度経済成長期の方々がよく言う「大学を卒業して普通に働いていれば奨学金なんて簡単に返せる」とかいう感覚は当時持てなかったし、今でもその感覚に変わりはない。自分が返済できたのは、たまたままともな企業に卒業して、たまたま企業が倒産することなく、たまたま健康に働き続けられたからとしか思えない。「今の若者はたるんでいて、借りたものを返すという当たり前の責任感がない」とかいう暴論に乗っかるつもりには全くなれない。

私は高校大学大学院と無利子の奨学金を借りられたが、そもそも「無利子」という言葉が曲者である。高度経済成長期のインフレ環境下の無利子と、平成不況以降のデフレ環境下における無利子を同一の感覚で語られても困る。前者は実質的な借金返済額が年を追うごとに減っていくことを意味するが、後者は年が経てば経つほど借金返済額が増していく。同じ「無利子の返済」でも今の若者は実質的に有利子の返済を行っているのと同等であり、ましてや有利子奨学金であれば、その負荷はさらに大きくなる。